ホーチミンから日帰りで行ける「ミトー」という街。そこを流れるメコン川の中州に浮かぶフォン島という場所に、ベトナム三大奇教の1つ、「ココナッツ教」という宗教団体があった島がある。
教祖様。
<そもそもココナッツ教とは?>
“ココナッツだけを食べていれば世界平和に繋がる”
・ダズオア(本名:グエン・タィン・ナム)氏が1963年に開いた宗教
・仏教、キリスト教、儒教、カオダイ教等の様々な宗教を融合
・経典、バイブル関係は一切なし(刊行された雑誌みたいなのはある)
・ココナッツしか食べてはいけない(砂糖や塩の使用不可)、水もダメ(ココナッツウォーターを飲む)
・世界平和&ベトナム南北統一を願っている
・教祖様には9人の奥さんがいた
・教祖様は木の上で生活
・教祖様と信者が話す時は筆談
・信者数は多い時で最大で10,000人!
・1975年に政府によって強制解体させられる
なるほど。全然わからない。
教祖様は19歳から7年程フランスに留学していたらしい。当時で外国に留学できるなんてよっぽどのおぼっちゃま。頭のいい人の頭の中っていうのは、凡人には理解できねえ。
若い頃のダズオア氏。ツヤッツヤ
この宗教を知ってから、出会う世界中の旅行者達に散々宣伝しまくっており、軽く布教活動に手を貸している。
…ずっと行きたかったよ!!とうとう行ける!!!
フォン島は、「フェニックス島」という英語名が付いている。フェニックスの島にココナッツ教があるっていよいよ訳わかんないな。
ミトーはメコン川の中州にある4つの島をクルーズするのが人気で、フォン島(フェニックス島)の他に、トイソン島(ユニコーン島)、ロン島(ドラゴン島)、クイ島(トータス島)という名前である。
中国文化が色濃いベトナムなのに、なんか中途半端だな。「フェニックス」じゃなくて「バーミリオンバード(朱雀)」「ユニコーン」は「ホワイトタイガー(白虎)」にすれば四獣全部そろってかっこいいのに…などとぼんやり考えながら、バイクの後ろに乗って巨大な橋を渡る。
船ではなく橋で上陸する場合、細長い島の端っこに着くので、ほぼ反対側まで結構な距離を移動する。こんなほっそい道をバイクでガッタガタ走る。…もうね…こういうの慣れてきた…
このフォン島には現在2,000人位が住んでいるそうですよ。
とうとう到着!!
わあああああ
ここがココナッツ教の本部。
ドギツイ色が華やかで奇抜でとても良い。
この9匹の龍が巻き付いた柱は、9本の支流にわかれるメコン川、そして9人いた奥さん達を象徴しているらしい。
一匹だけ尻尾のデザインが違うよ。
金魚みたいだな
龍の顔かわいいな
ダズオア氏のお墓。
鐘。
ちゃんと管理されている様で、お花が咲き乱れて美しい。ずっと水をやってる渋いおじさんがいた。
教えを説いていた場所
奥へ進む。
海の中のような不思議な装飾である。ココナッツマジで全然関係ない。
更にこの奥には、背の高い謎のオブジェ。この辺はサビてたり割と雑に扱われている。
公園の遊具クオリティ。
残念ながら上に登ることはできない。
電波さんだったんだな、教祖様。
何か宇宙から受信してる。
ぽっかり浮かぶハス。
下は南北統一しているベトナムを模ったコンクリート素材の台。
向かって左奥には、宇宙に行く為に作った?という説があるロケット。
……ほう……
階段を登って近づいたけど、人1人乗れるかも怪しい。夏休みの工作だよコレ。
地球と共にプラプラぶら下がってる
敷地の裏には畑があり、鶏が住んでた。
教団が活動していた当時、ベトナムは南北に分かれて戦争真っ只中。特にこのミトーや近くのベンチェーは激戦区だったらしく、教祖様はとても心を痛めたことでしょう。
信者の中には、徴兵を恐れたり、戦争が嫌になってこの教団に逃げ込んだ人が多数。アメリカ兵もかなりいたらしい。
その為に、ゲリラや反政府組織を匿っているんじゃないかと南ベトナム政府から目を付けられて、「カルト教団」と言われ、教祖様は投獄されたりしていた様です。ココナッツ食べてるだけなのにな。
「誰でもOK、歓迎しますよ〜」というポスターが貼ってあったらしく、ここへ来れば匿ってもらえると思った人々の駆け込み寺だったのでしょう。本当11年もよく続いたよ。しかも10,000人て。
ベトナムが統一して、皆さん本当に嬉しかったことでしょう。ココナッツの力かどうかは今となってはわかりませんけど。z
そして教祖様81歳まで生きてらしたそうなので、ガリガリだったとはいえ、ココナッツって栄養あるんだなあ、すごいなあと思った。
想像していたよりも割とこじんまりとしていたけども、雄大なメコン川の中に浮かぶ、のんびりとした緑豊かな場所。ツアーだとチラッと寄るだけであんまり説明とかないらしい。なんて勿体ない。こんな意味わからん不思議宗教そうそうないわ。
行けて良かった!!
<行き方>
多分この辺。
[map addr=”10.336567, 106.368157″][/map]
ホーチミンから行くには、南にあるミェンタイ・バスターミナルへ行き、そこからミトー行きのバスに乗る(30分間隔で運行)。1時間半。
ミトー到着後、例に漏れずバスターミナルは街中から少し離れているので、バイタク等でフェリー乗り場に行って、島をいろいろ回るツアーに参加するのが一般的。私位しかいないかもしれませんが、マジでココナッツ教の島に行くだけでいい、他の島は結構です、という方はバイタクが一番安く行けると思う。大人数ならタクシーとか。
入り口
※私の場合は、たまたま船の料金が高くて困っている時に、旅行会社のおじさんが話しかけてくれ、バイタクになって島に連れて行ってくれた。普通のバイタクの人が受けてくれるかは謎。現地で要確認。
バスを乗り継ぐので運が悪いとタイムラグがかなり発生する。私は結局片道3時間位ずつかかった。
<ホーチミンの宿>
EZ STAY SAIGON
日本人のオーナーさんの日本人限定の宿。
久しぶりに日本人と喋りたい…!というのももちろんあったけども、この宿…大浴場が屋上にある…!!!
ふおおおお
1ヶ月ぶりに湯船に浸かれる…!!ケロリンの洗面器もある!
ドミトリーが12ドルとベトナムでは安くはないけども、スタッフさんも日本語喋れるし、綺麗で日本人好みの設備が大変整っている。東南アジアにちょっと疲れた人々に最高のオアシス。
まさかベトナムで北斎見ながらお風呂に入れると思わなかった。
扇風機と畳もあるよ!!
<おまけ>
教団跡の近くにココナッツキャンディ工場があり、作ってる過程を見学できる。土産物売り場であったかい作りたてを試食でき、とても熱心に勧めてくれるのだが…
…ココナッツ教の信者の方が作っているキャンディなら喜んで買うんだけど…普通だ…イマイチだ…と思い、丁度顔のクリームが切れたので、肌に塗るココナッツクリームみたいなのを買った。
これめっちゃいい匂い。顔に塗るとココナッツのとても甘い芳しい香りに包まれ、これ本当に顔に塗って大丈夫なのかという妙な不安感に襲われる。