【クラクフ】オシフェンチム アウシュビッツ=ビルケナウ収容所

ようやく夜中にクラクフへ到着した翌日、長年行かねばとずっと思っていた、アウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所の見学に行った。

外国人初で、唯一の施設公認の日本人ガイド、中谷剛さんへ2ヶ月前からメールでガイドのお願いをしておいた。超有名なお忙しい方。なので、必死に前日までにクラクフ入りせな…!と焦っていたのです…。゚(゚´ω`゚)゚。
ちゃんと調べるまで知らなかったんだけど、普通の博物館とかと違って、チケット買って勝手に入ることができないんですよ、ガイド付きじゃないとアウト。そして見てまわって思ったのが、「こりゃ確かにガイドないと全然わからんな…」であった。

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元々この歴史と施設を知ったのは小学2年生の頃読んだアンネフランクの伝記で、こんなこの世の地獄が本当にあったのかと戦慄・愕然とし、暫く怖かった記憶がある。日本でも、本やTVのドキュメンタリー、有名な「ライフイズビューティフル」「シンドラーのリスト」などの映画等でかなり知名度は高い施設である。少しテーマが逸れるけど実家に手塚治虫の「アドルフに告ぐ」もあったな。

アウシュビッツ(オシフェンチム)は、複数に分かれており、今回見学するのは第一と第二。あの有名な最後が途切れている線路があるビルケナウは第二である。

あの有名なBをひっくり返した入り口

入った時の第一印象は、「…?思ったよりずいぶん…アッサリしてる所だな」であった。

中谷さん 写真を1つずつ丁寧に説明してくださる

人々が持っていたカバンの山。自分の名前を大きく書いてある。人々がここに来るまで何をされるか知らなかったことが、残っている日用品から窺い知れる。

人々が持っていたコップやお鍋

女性達の遺髪の山もあった。人の体の一部だからか、写真撮影は禁止。その髪で作った織物もある。人々から取り上げた大量の眼鏡も積まれていた。

大量の靴。女性もののサンダルや子供の小さい靴まで山積み

1つ1つ、その人の人生や暮らしがあったことを感じる。写真は見たことあったけど、実物はその物が持っている記憶の様なものを纏っている。

靴や服用のブラシ
大量の義手・義足やコルセット

この日は20人位日本人がいた。他の国の人たちも沢山来ていて大変混んでいるので、各自ヘッドホンを渡されて、中谷さんの説明をマイクで拾って聞ける。この日は現地では平日だから割と人は少なめだが、休日は大混雑なので建物に入るのも結構待つとのこと。

火葬場の塀のすぐ向こう側に、アウシュビッツ所長のヘスが家族と住んでいた家が見える。煙突から出る煙を、この家の子供達は何も知らずに吸っている。お父さんがこの壁の向こう側でどんな仕事をしているのか知らない。

敷地内の道は等間隔にポプラが植えられ整備されている。ヒトラーは環境保全をいち早く意識していたらしい。大量虐殺という行為と、緑を増やして自然と共生し豊かな社会を作る取り組みが同時進行で行われる。

着させられていた縞模様の服(反射が酷い…)
ガス室のジオラマ
人々が入るまで何をされるか分からない様、見えない様な工夫がされていた
電流が流れる有刺鉄線の柵。この細い道をSSが歩いて人々を監視する
人々が銃殺された「死の壁」(復元)
ガス室の中に入れた
チクロンB(毒ガス)を投入した穴が天井に開いている(復元)
映画で見た毒ガスが入れられるシーンと同じ視点でゾッとした
遺体を焼いた炉

ビルケナウまで3km位離れているので、シャトルバスで移動します。

監視塔から伸びる線路。
線路の終わり。
ガス室へまっすぐ続く引き込み線。1944年にできて、殲滅のプロセスを加速・簡略化したらしい…
人々を運んだ車両
爆破されたガス室跡 
ビルケナウのガス室はいくつもあり、100万人近いユダヤ人が犠牲に

人々の灰を撒いた池。このすぐ横には、水を綺麗にして川に流す浄水施設がある。

バラック(レプリカ)

雨が降っていたのもあるが、5月のポーランドは寒い。更にだだっ広いビルケナウの敷地で、ちゃっちい作りのバラックは隙間風がすごい。底冷えもする。あんなうっすい布地の服1枚で栄養失調の状態で働かされ続けていたら、どんなに体が丈夫でもすぐ具合悪くなるよ…
木造のバラックは、基本的にドイツ軍撤退後、生き残った人々が暖を取る為に解体して薪にしていたらしく、残ってるのはレプリカ。平原にバラックの土台だけが残っている。

第一次世界大戦で負けて、大不況で苦しい暮らしの中で、ドイツの人々は辛くて苦しくて、「こんなに辛くて大変なのは何故?」と思った。ヒトラー自体を支持していた人は実は少なかったらしいのだが、彼はドイツ国民の不利益を何も言わなかった。「ユダヤ人のせいだ」と言えば良かった。ゲルマン民族のみの世界を作れば幸せになれる!と謳い、迎合主義が人々を支配していく。

当時の世相の中で、「この仕事はおかしいんじゃないか?」「やっていることは間違っている」と思ったとしても、言葉に出したり行動したりできる人はどの位いるのか。そして次第に考えることをやめて、淡々と「業務」を日々行っていく。
多分元々は普通の人の方が多く、生まれた時代が違ったら、何の問題もなく普通に幸せに生きた人だったんだろうな…

思考をしないと、何が正しいのか、今自分が何をしているのか段々わからなくなる。感覚がどんどん麻痺してしまう。上からそうしろと言われたから、これが仕事だと言われたから、そうするのが当たり前だったから…アイヒマン裁判の中継でも、彼は「自分は悪いことをやっていると思わなかった」と言っていた。初めて見た時は「何言ってんだこの人」と思ったけど…他にも、上官から命令されたからやったと言う人達が大勢いた。「誰一人謝ってません」と中谷さんは言った。

見学しながらずっと、呼吸が浅くて息苦しくて、最初に抱いた第一印象をずっと引き摺っていた。
正直カンボジアのキリングフィールドの様な場所を想像していた。いかに酷いことが行われ、沢山の人々が虐げられていたか、悲惨な状況だったか。勿論、人々の遺品や当時の写真、建物跡など、歴史を伝える資料は沢山あった。
だけど、それ以上に洗練された煉瓦の建物と、その間に走る電流が流れる柵、綺麗なポプラ、建物の中で行われる秘密の裏側、綺麗な緑の芝生と泉に捨てられる大量の人々の遺灰など、強烈な違和感と、それを同時進行でできる様になってしまう人間の一面を考えた。

私達のリーダーは何を言っているのか、それは良いのか悪いのか、誰から見た側面なのか、しっかり調べて考えないとどんどん流されて、次第に言いたいことも言えなくなって、事態は進んでしまうんだなと。

中谷さんは、25の時からポーランドに移住され、20年以上こちらで暮らしている。長く住んでいる人の視点、ドイツの当時の文化やヨーロッパの教育水準、ポピュリズム等、時事問題を絡めて貴重なお話を沢山してくれた。ただ「あの頃酷いことがあった」だけじゃなく、「今後の危険性も含めて、欧州は考えて教育にも大きく反映させている」と言う。中谷さんは淡々と中立的な立場で、「誰の証言か」も明確にさせて説明してくださる。
長々と感想を述べてしまって恐縮だけども…ぜひ自分で考えて調べて実際何を感じるか、現地で中谷さんと直接お話をしてください!
可能であれば、早めに現地に行って入り口でパンフレット買って読んでおくと、より見学時に理解が深まってお勧め。

お手洗い

そんな中でも、驚くことに約60人もの赤ちゃんがこっそりこの収容所で生まれて生き延びている。お医者さんが、妊婦さんに協力して看守の目から隠すのを手伝って産ませてあげて、労働の時間はトイレとかに隠していたんだとか。こんな状況下でも、助けようとしてくれる人もいたのかと、本当に色々な人がいたんだなァ…と思う。

我々の団体の中に、親に連れられてシンドラーのリスト観て来たという14歳の少年も来ていた。若いうちから遥々凄い所に来たね…!!(´⊙ω⊙`)

<中谷さんへの依頼方法>
勝手にいいのかな…書かせて頂いても…
中谷さんメールアドレス:tnakatani1966@icloud.com
(2019年3月時点です)
収容所博物館のHPで事前に自分の希望日がお休みと被ってないかを調べておき、中谷さんへガイドをお願いできないかメールする。可能であれば候補の希望日2-3日決めておく。中谷さんが、ご都合の良い日時や費用等を返信してくださるので、指示に従ってください〜
私は2ヶ月前位に予約しました。日本のゴールデンウィークは日本人が本当に多く、人数多すぎて対応できない時もあるらしいので…

<アクセス>
クラクフ駅裏のバスステーションから1時間半位。

確かライコニックっていう会社を使った。片道15ズォチ
めっちゃわかりやすく「オシフェンチム」って書いてあるよ
着いた場所の近くに、帰りのバス停もある。バスのボディにばーんと書いてある
A4以上の大きさの荷物はNG。荷物を預ける場所があるよ
バスステーションの中には売店もあるよ〜クラクフ名物のパン、オヴァジャネック
もちもちで美味しい…(=´∀`)

<おまけ>
本や有名所の映画の他、事前に見ておいてよかった映画の話を少し。
「サウルの息子」・・・ガス室で殺した人々の遺体を片付ける仕事をユダヤ人にさせるという凄まじいことも行われており、「ゾンダーコマンド」と呼ばれている彼らの1人、サウルの話。収容所で亡くなったお父さんのお葬式をしようとする。映像が終始サウルの肩越しからの視点で独特の映画。
「縞模様の服を着た少年」・・・当時の壁の外と中の様子と対比がわかる。ガス室の天井の映像もこの映画にあった。そして大変な鬱展開と結末なので、見るの注意かも…

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