「アガスティアの葉」というものの存在を知ったのは、今から約5年程前。私より少しお姉さんの方に、「世界全人類分の、その人の一生が書かれた葉っぱ」のことを聞かされた。
日本でも一時期流行り、TV番組で芸能人が自分の葉を探しに行ったり、高額なツアー(50万近くとか!)が組まれたり、「代行で貴方の葉を探します」的な業者があったり、インチキだのなんだのと騒がれたり、いろいろある葉っぱである。
恐らく、40代以上の方で、占いとかお好きな方は知ってる方も多いかと。お詳しい方もいるかと思う。
かつて、アガスティアさんが、古代タミル語で膨大な量の葉を書き記したので、葉っぱを保管している館はインド全土に散らばっている。さらに、読める人が限られているので、「ナディ・リーダー」と呼ばれる人が、当人に様々な質問をして、葉っぱを探していくというアナログな探索方法である。
私は館をいろいろ調べ、散々迷った挙句、カンチプラムの有名な館にとりあえず行ってみることにした。そう、チェンナイから入ったのも、この胡散臭すぎる葉っぱを探してみようと思ったからである。
まあ…アレだけども…ここは神秘の国インド。もし…もし自分の一生が書いてある葉っぱが本当に見つかったら凄くないか?!?!というノリである。
混んでるから予約しといた方がいいということで、宿のスタッフさんに前日に電話で予約を取ってもらった。日本人であること、下の名前だけ伝えてある。
「朝9:30に館に来てね」と言われる。
えっ チェンナイからカンチプラムまで早くて2時間、下手すりゃ4時間かかるんですけど?間に合うかね?
…翌日、朝6時に宿を出発するも、1時間盛大に遅刻して到着。
こちら。
大遅刻したけど普通に対応してすぐ部屋に案内された。待合室には沢山のインドの人たち。まあ…外国人だから…インドの皆さんの数倍の金を払うんですけどね…だからかね…
私の名前を大変スムーズに呼ぶ担当者。日本人の名前に慣れてるよこの人。
早速部屋でいきなり左手親指の指紋を取られる。(男性は右手親指です)
指紋認証とかで葉っぱ探してくれるのかな〜?!
結構質素でシンプルな部屋である。
暫く待たされるので(候補の葉っぱ探してる)、私は「外に行ってくる」と告げ、建物の横にあるチャイ屋で一杯やっていた。
係の人が呼びに来る。1時間も遅刻した挙句、勝手に外に出てチャイを啜るマイペースな日本人に呆れたのか、2階のコンサル室みたいな部屋に早々に入れられ、さらに30分以上待つ。
他の部屋からは、恐らく古代タミル語を読み上げるナディ・リーダーの声がボソボソ聞こえてくる。
日めくりカレンダーがめくられていないことが妙に気になる。
目の前にはアガスティアの葉の束が3本。
ケースの大きさ、長さも違う。この中に…私の人生が書かれた葉っぱはあるのか?こっそり触ったり、つついたりして遊ぶ。
さあ、騙すならちゃんと騙してね。インチキの匂いが全然わからないくらいびっくりさせてね。
…あまりにも待つので、ひょっとして、葉っぱ自体はインチキでも、インドだから、もう宇宙的な全人類のデータベースにアクセスする方法とか知ってて、指紋でそこから私の情報引っ張り出してるのかな?とかいろいろ妄想していた。
ようやく、ナディ・リーダー登場。このおっさん。
横に、私の担当者らしき、またもや胡散臭さ満載の英語を話すおっさんが付き、通訳をしてくれる。
「父親の名前は、ナ行から始まるか?」
ナ行って…アンタ…
「貴方の誕生日は1月〜5月の間か?」
「母親の名前はヒロコか?」
「兄弟はいるか?」
いろいろな質問に全て「Yes」「No」で答えてゆく。Noになると、葉っぱを変えて次へいく。それをずっと繰り替えす。一向に「あの瞬間」が訪れない。
そう、Yesが続き、私の言ってないことを、ナディ・リーダーが言い始める、何でそんなこと知ってるの?!となる不思議な瞬間である。それが来ると、「葉っぱが見つかった」となり、皆さんびっくりするらしい。
そして…
質問に答え、「誕生日」「両親の名前」「兄弟姉妹の有無」「今何の仕事をしているか(無職です)」等、消去法で絞った答えをまとめて導き出され、「うむ、貴方の葉が見つかった」という流れになった。
ぶっはーーー いやいやいやいや なんでそうなるのだ笑
ちょっと!!これで葉っぱ見つかるならな!!これな、私でもできるよ!!
それが私の葉っぱだという証明が何一つされていない。私しか知らないことも何も言われてない。しかも、古代タミル語はナディ・リーダーしか読めないからどうしようもない笑
これが私の葉。瀕死のミミズがのたくっていようにしか見えない。
強引すぎるでしょ〜もっとびっくりさせてよ〜やるならちゃんとやって!インチキやるにも下手すぎるだろ!エンターテインメントの欠片もないわ!!笑、と思ったが、これ以上個人情報を言っても全くもって本物かどうか証明する手立てがないので、このままどうなるのか興味で、流れに身を任せてみることにした。
ナディ・リーダーが、タミル語でいろいろと私用のノートに書き付けてゆく。それが終わると1階の部屋に戻り、担当者のおっさんが私の人生の概要を英語で読み上げる。せっかくなのでiPhoneのボイスメモで録音した。
アガスティアの葉は幾つかの章に分かれている。それぞれは「カンダム」と呼ばれ、概要は第1カンダムに当たる。
ざっくり言うと、今後私は1年半後位に結婚し、5年以内に1人男の子を産み、その数年後に女の子を産む。旦那はいい人。私はサービス業に付き、仕事は上手くいく。病気はするけど薬で治り、80過ぎまで生きる。
そうか…ふっつーーーだな!!でも幸せだね!!びっくりするほどに!!
まあ…恐らく皆さんに当てはまりやすい当たり障りのない内容を…言ったんだと…いや、やめておこうか。
ちなみに、現在のアガスティアの葉の料金は、第一カンダム(概要)を読むのに2100ルピー、それ以外のカンダム(仕事、結婚、子供とかの詳細がいろいろ描いてある)1つごとに1050ルピーかかる。消費税5%?
私は将来の仕事についてのカンダムを追加で翻訳してノートに書いてもらうことにした。課金してる笑。
外国人は、更に英語に翻訳したノートを自宅に郵送してもらえる。翻訳代600ルピー、郵送代900ルピー。そんなにかかるかい!!と思いつつ承諾。
いやあ総額4650ルピー。日本円で8000円くらいである。インドの物価を考えると、1週間は旅行できる金額。たか!!たっか!!
今まで私は雑誌の占いや朝の占い程度は見ることがあっても、お金を払って占い師や手相を見てもらう類のものを一切やったことがなかった。今回はこんな感じでしたが、占いにハマる人の気持ちが…少しわかった気がした。
自分の将来が全部わかってしまうなんてつまらない、という人もいるけれど。
皆、将来こうなったらどうしよう、という不安はずっとつきまとう。
インチキだとわかっていても、適当なことを言っているんだろうなと思っていても、心のどこかで、「ああ、このままでいいんだ」と安心したんですよ。
あなたはこういう人生を歩みますよ、結婚をしますよ、子供も生まれますよ、80過ぎまで生きられますよ、だから大丈夫だよ、安心しなよって、他人に言ってもらえることなんて、普段ないじゃないですか。
一人で必死で立ち、自分の希望する人生を歩める様に、日々頑張るしかない。誰も未来のことなんてわからないし、無責任なことは言えない。
だから、勿論状況は何も変わっていないんだけども、「他人から言ってもらう」経験ができて、それはすごく良かったなと思った。そして、こうして、悪徳占い師とかにはまってしまう人もいるんだなとも思った…
「1人で何もできずに数年後に孤独に死ぬ」とか言われたらどうなっていたんだろうか…?
おっさん「カルマ(悪業)があるから、それをスペシャルメニューで落とせば、葉っぱに書いてあるような幸せな人生を送れるよ!!」
出たよ!!カルマ!!やっぱりな!!
と内心爆笑しつつも、カルマ落としは断る。
おっさん「これやっとかないと上手くいかないのに…」
余計なこと言うな。
最後の最後に、試しに、30過ぎ女ですが、上目遣いで口角を上げ、おっさんに聞いてみた。
「ねえ…実際のところ、アレって本当に私の葉っぱだったの?」
おっさん「……うん…薄笑」
最後くらいちゃんと演じてよ!!笑
私ごときに釣られるんじゃねえ!!笑
<行き方>
この記事読んでここ行きたいと思う人がいるか不明ですが、一応。
街の中心部にある、カンチプラムバスターミナルからオートリキシャで15分くらい。
この辺
帰りは、乗り合いバンがよく通るので、バスターミナルまで20ルピー(40円弱)で戻れる。
こんにちわ。
アガスティアから来ました。
そろそろ結婚しました?
日本で二年前にアガスティア開かなましたがありませんでした。
最近またアガスティアを思い出し
違う業者に頼むと断られ2度と受けるかボケと思いました。
>岡田さん
返信がめちゃくちゃ遅くなってすみません!コメントありがとうございます〜!
アガスティアは本物にたどり着ける気がしないですね笑
占いとして割り切るしかない気もします
そしてまだ私は独身です笑 プジャーやらなかったからかしら(^_^;)