【ムンバイ】ドービー・ガートとその周辺 イケメンの力について

7月28日朝、ムンバイ(ボンベイ)にやってまいりました。

派手なバスで。

ここがムンバイかァ…と喧騒の中、呆然としつつ街を歩く。

まず向かったのは「ドービー・ガート」(Dhobi Ghat)

ここは、ムンバイ中の洗濯物を請け負う、巨大な洗濯場所である。人々が全て手作業で洗濯をしている。

「ドービー(Dhobi)」とは、ヒンドゥー教のカーストの中にも入らない、所謂「不可触民」の人々だそうで。「洗濯物」というのも、「不浄な物」を取り扱うことになるらしく、ここに生まれたら、一生職業は変えられないらしい

ううむ…

おおおおおーーー

雨季なので曇り空が残念だけども、洗濯物が沢山ハタめいていて圧巻。

ジーンズとシーツが多い。

同じ色の布が沢山ある所を見るに、ホテル、業者とか飲食店とかから請け負うのが多いのかしら?

私がここを見ていた場所は、駅にかかる陸橋なのだけれども、洗濯物の大きな包みを背負った人が時々脇を通り、階段を降りてエリアに入っていく。

洗濯をするであろう、水が溜まった仕切られたプールのようなものが縦に並んでる。脱水なのか、布をめっちゃコンクリートに叩きつけているおじさん。ああ…そんなに激しくしたら、千切れちゃうんじゃないのかい…?

ここは、インドの人々の間でも観光地?名所?みたいになっているのか、橋の上から写真を撮っている人が多い。「あら〜」とお母さん&娘らしき親子が覗き込んだりしている。何だか違和感。…まあ私も彼らと同じことしてるんだけどね。

階段を降りて、ガートの周りを歩いてみた。

…凄まじい排気ガス。ゴミを積んだトラックが何台も通りを走っていく。道が煙ってるよ…

そしてかなりの異臭。なんだ?!と思いつつ口元を布で押さえて歩いていくと、猫が沢山ウロウロしている。

ああー…なるほどな。

自主規制

インドのマーケットに行っても見かけなかった、「肉の解体屋」「肉屋」「魚屋」が並んでいた。「屠殺」「肉の解体関係」は、汚れ仕事とされ、カーストの下の人々の仕事。他の国では普通にマーケットの一角にあるが、インドでは、カーストによって、住む場所も仕事も完全に分かれている。

フレッシュ鶏屋は勿論のこと、ヤギの細切れの肉と首を大量に並べて売っている。臭いと蝿がすごい。

余分な肉片や骨を足元に落とし、それを猫たちが店の脇で集まって齧っているのである。最近カリカリ食べてるのしか見てなかったからな…そういや猫って肉食獣だったわ…

これは中々のインパクト。絵が強烈である。ヤギの頭って…食べるのか?出汁が出るのか?それとも、何かの儀式に使うのかな?結構人が集まり、熱心におじさんが商売をしている。

少し離れた所では、黒ヤギが普通に道をウロウロしている。キミも…そのうち店頭に並ぶのかい…?

とあるヒゲの長いおじいさんに、「マダム!ドービー・ガートの中に入ってみない?!大きな洗濯場だよ!凄いよ!」としつこく言われる。嫌な予感しかしないので丁重に断る。

※中に案内されて多額のチップを要求されることがあるらしいので注意

このエリアは、更に奥に巨大なゴミ処理場がある。カラスが大量に飛んでいて、最初何だか分からずびっくりした。電車の窓からもゴミの山が見える。そして、ここは飛行機がよく低空飛行していてかなり煩い。

ああ…この洗濯物の景色はすごいのに、何だかモヤっとするなあと、再び陸橋に戻り、ぼんやりしていると、ガート内の洗濯物の上でのんびり寝そべっていた痩せ型の上半身裸のイケメンに、にこにこ笑いかけられ手を振られて、あららあ、と嬉しくなり、手を振り返した。

…なんていうかね!正直私の感覚からすると、「イケメンで、かっこよければそれで良い」だよね!!カーストとかもうよくわからんし!しかもイイ服着てたりめっちゃキメてるわけじゃないのに、ダラダラ寝てるのにイケメンて!すごくね!?

…私が何を思おうが、彼らの日常は続いてゆく。明日もこの先もずっと、彼らはムンバイ中の洗濯物を請け負って綺麗にして、人々の生活を支える。

 

<行き方>

 

[map addr=”Mahalaxmi Dhobighat”][/map]

 

ムンバイのウェスタンレイルウェイ「Mahalaxmi」駅の横。駅を出て左折すると、ドービー・ガートが一望できる陸橋の上に出る。

 

<おまけ>

ムンバイには、「Tower of Silence(沈黙の塔)という場所がある。ゾロアスター教という宗教の埋葬方法が「鳥葬」で、なんと唯一現役の鳥葬台がムンバイの街中にある(イランにも建物はあるものの今は使われてない)。大きな公園の一角らしく、もし建物の外観だけでも見ることができたら…と思って行ってみた。

が、まあ…案の定、建物を見ることはおろか、近づくことさえできずにガードマンに止められた。パールスィー(ゾロアスター教徒)しか、このエリアには入れない。そうですよね、神聖な場所に、世間知らずが来てしまって申し訳ない。ジャーナリストレベルの人が過去に2人、特別に中に入って取材したとか。反対側の通りからの外観はただの大きな森。パールスィーはインドの中でも裕福な人が多いらしい。綺麗でピッカピカの車が何台も中に入っていくのを見た。

鳥葬は、鷹や鷲が頼り。ここは、近年の急速な都市化の影響で、あまり鳥達が来なくなり、中々鳥葬が進まず、近隣への異臭問題やら大変らしい。でも、火を崇めるソロアスター教徒は火葬はおろか、水や土、大地も神聖なものとしているので、水葬や土葬もできない。その為、火が発生しない250度だか何だかくらいまで人工的に温度を上げて、遺体の乾燥を促進させる技術を導入しているとか。

東チベットで遥か遠くから鳥葬を見た時は、時間になると鷲が大量にやってきて近くで行儀よくスタンバイしてた。確かにこんな大都会の真ん中には、あの量の鷲達は来れないよな…。

知らなかったのだが、Queenのフレディ・マーキュリーもゾロアスター教徒だったらしいですな。

インドはとてもいろいろな宗教の人々が住んでいる。それを全てOKにするインドの懐は広い。凄いと思う。北のダラムサラにはダライ・ラマが亡命して住んでらっしゃるし。埋葬方法1つとっても、全体で折り合いをつけていろいろやるのだなあと思った。

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